平成21年度行政書士試験合格者
受験番号5312090
小砂見 優 様(大阪府)
1、はじめに
私は、受験4回目にして、やっと合格しました。
失敗の連続をご紹介することで、初めて受験する方には、つまづいてしまうかもしれない失敗を回避してもらい、また再チャレンジの受験生の方には、失敗から合格に転換する過程が参考になればいいなと思います。
2、行政書士を目指すきっかけ
私は、大学の法学部を卒業しました。元々公務員試験の勉強をしていましたが、進みたい将来への考え方が変わり、方向転換して法律の実務家を目指すようになりました。そして、すぐに開業できる行政書士と司法書士の資格を取ろうと決めて、受験勉強を始めました。
3、各年の試験
【平成18年度】
1回目の受験は、試験制度が変わる初めての年でした。行政書士試験を受けようと決めたのが平成18年8月、しかも10月に職場を変え、全く準備ができない中での受験でした。
結果は、一般知識等の足切りで不合格でした。
それでも、択一の法令科目の点数が50%を超えていたので、合格まであと10%だから自力で何とかなるのではないかと思いました。
【平成19年度】
2回目の受験です。独学での受験でした。
当時の仕事が忙しく、勉強に身が入りませんでした。このままでは合格はほど遠いと思い、勉強時間を確保するため、パートの仕事に変えました。それが7月でした。
試験日まであと4ヶ月間の勉強法は、アウトプット主体の勉強法でした。
主な方法は、市販の模試を解く、直前期には毎週予備校の答案練習会に参加し、解説を読んだ後、同じ模試又は答練を解いて100%解答できるように繰り返しました。
また、行政法が苦手だったので、行政書士試験過去問集を購入して、3回位繰り返し解きました。
そして、試験結果は、足切りこそ逃れたものの、合格には遠く及ばない点数でした。ちなみに択一法令科目は18年度と同じ50%程の得点でした。
当時の私は、不合格の疑問を突き詰めることなく、準備期間が4ヶ月と短く、仕事もあり勉強時間の確保ができなかったから不合格だったのだと、「漠然」と考えました。
そして、もっと勉強頑張ろうと、という結論に至り次の年へ向かいました。
この年の失敗は、以下の3点だと思います。
①不合格の原因を自分なりに突き詰めなかったこと。
②勉強時間確保の対策が、気合いと根性のみだったこと。
③知識の土台ができていないのに、アウトプットばかりの勉強法だったこと。
計画性と応用力がなかった為に、過去に出なかった分野や、過去問と違った視点からの問われ方に全く対応できなかったのだと思います。
【平成20年度】
3回目の受験です。この年の7月に初めての司法書士試験を受けました。その後、すぐに行政書士試験に取り組めず、勉強を始めたのが、8月でした。
(択一法令対策)
過去問14年分を100%解けるようになる事を目標に進めました。
合格に役立ったと思うので、択一法令科目の勉強法を紹介したいと思います。方法は、2段階あります。
まず1段階は、問題に赤ペンで、正解にチェックを入れます。他の不正解の肢には、正解の文章になるように書き直します。
不正解の肢を正解の文章に書き直す作業は時間を要しますが、ただ解説を読むより、頭を使いますので勉強になりました。
2段階は、暗記道具としてよく使われるような赤の透明シートを使います。シートで問題を覆うと、書き込みが消えますので、問題を解き直すことができます。また、不正解の肢が、最小限の解説に早変わりします。
勉強に疲れたときは、赤シート使わないで、どんどん問題集を「読み」ました。
(一般知識等の対策)
時事や情報関連問題の対策は「速攻の時事」を数度読み込み、文章理解対策は「スーパー過去問ゼミ」をたまに解いた程度でした。いずれも公務員試験用の教材です。
(記述対策)
試験の配点が60点もあり、記述で得点すれば、択一の伸び悩みをカバーできるのではないか、と考えました。
そこで、沢山問題にあたればいいと思い、ネットで情報収集している中と突破塾と出会いました。費用も安く、内容も充実していそうだったのと、突破塾ホームページや掲示板からいい雰囲気を感じたので、記述問題集を購入しました。
使い方は、記述問題を携帯電話に取り込み、スキマ時間に読み込みをしていました。
そして本試験の結果は、択一法令科目は平成19年と同じ点数、一般知識等は20点で2度目の足切りでした。
そして、3年連続、択一法令科目が同じくらいの点数なんて、私はずっと合格できないのではないかと、ひどく落ち込みました。
この年の失敗は、19年度の原因に加え、以下の3点だと思います。
①過去問ができるようになれば、合格できると考えたこと。
②記述の点数に依存しようとしたこと。
③一般知識等に力を入れなかったこと。
この当時までは、合格まで、あと10%の点数アップというハードルは高くないと考えていました。
思い返すと、行政書士試験というのは、ある程度勉強をすれば合計50%位取れると思うのですが、そこから60%になるには必死に勉強する必要がありました。
【平成21年度】
4回目の受験です。3回目の受験時に落ちたら、独学は辞めようと考えてました。そして、記述式の教材がよかった突破塾を受講しようと決めていました。
5月まで司法書士の勉強をしていましたが、行政書士試験への思いが強くなり行政書士試験に専念することにしました。
まず、合格体験記と勉強法の本で勉強法の研究をしました。
次に、平成20年度の本試験を見直し、自分の弱点を再確認しました。具体的な方法は、後で詳しくご紹介したいと思います。
そして、突破塾を選択した理由は、掲示板のとっぱ先生の対応、講座代の安さ、昨年使用した記述問題の問題数の多さと内容、そして突破塾の一歩上行く勉強内容が大事だという考えです。全科目の実力を底上げしたかった私としては、講義が一歩上行く勉強内容、という点はぴったりでした。
そして、6月末から突破塾で勉強を始めました。
模試と過去問集以外は、他の教材は使っていません。突破塾通信講座と自分の勉強計画を信じて勉強をしました。
その結果、択一法令科目116点、多肢選択式20点、記述式44点、一般知識等44点の合計224点でやっと合格にたどり着きました。
4、平成21年度の勉強法
平成21年度の勉強は、前年度までのアウトプット主体の勉強法では、知識不足を脱出できなかったので他の方法を考えました。
【具体的な勉強法】
・試験で何点取るかの目標を決める。
漠然と勉強しないように、記述式に依存しないように、択一式のみで180点取るという目標を決めました。法令科目は8割、一般知識等は6割程度の正解で、合計点が228点取得が私の目標でした。
そして、本試験の点数は224点で目標点数に近いですが、内訳は予定通りではありませんでした。しかし、具体的な目標持って勉強することで、各教科の勉強量の配分をうまくできたと思います。
・講義をできるだけ早くに聴き終わる。
法令科目は1ヶ月程ですべて聴き終えました。テキストを12回読み込む予定だっだ(実際は11回読み込み後もう一度講義を聴きました)ので、理解は後から付いてくるだろうと信じて、分からない所があってもどんどん聴き進めて行きました。一般知識等も送られたら、できるだけ早く聴くようにしました。そして、聴き終わった分野から、テキストの読み込みを始めました。
・テキストの読み込み
まず、CD受講時にとっぱ先生が、講義中テキストにマークの指示をされますのでしっかりマークしました。
そして、テキストの読み込みに入ります。読み方はマーク部分だけを読み込みます。そして読むスピードは、最初から8回目位までは30分100ページ位です。次に、9回から11回目までは、前回と比べ半分程スピードを落としマークした箇所の前後も読みます。 テキストの読み込みは、スピードが命でした。できるだけ間を空けずに11回目まで読み込むように意識しました。
最後の12回目はじっくりテキストを読み込もうと思いましたが、CDを聞き直し、知識の穴を埋めていきました。
どのような効果があったかといいますと、問題を解くなど知識を思い出そうとする時に、テキストの画像が頭の中に浮かび上がることがありました。テキストが頭の中で読めたので、自信を持って答えることができました(常にではないですが)。
・法令科目過去問をテキストへのリンクさせる
過去問の各問題の肢をテキストに「H○○年△問目の□番」のように出題年数を書き込んでいきました。
この作業の効果は、テキストを見返したときに、どの分野からよく問われるかが分かる事です。
私はすべての問題をテキストへリンクさせることが、気合いと時間が足りずできませんでした。
しかし、苦手分野から着手していったので、不得意とする分野の頻出箇所が分かり、知識の完成度は高められたと思います。
・模試の受け方、復習
法令科目の講義を聴き終わった8月頃から、予備校の模試又は市販の模試を受験しました。
受ける周期は、模試の消化不良を起こさない程度の2週間~1ヶ月に1回でした。
模試の目的は実力試しもありますが、主に時間配分の検討と、苦手分野の抽出作業、時事問題の収集でした。
復習は、間違った箇所の解説とテキストの該当箇所を読み比べました。
そして、得点率の低い科目のどの分野が理解不足かを割り出しました。
次に、割り出した分野のテキストを一通り読み込みました。苦手な分野は、単純知識の問題でなければ、分野全体が理解不足なことが多いと感じていたからです。
また、復習時間に多くを割かないように、復習は2時間までと設定していました。
・記述対策
(使用教材)
使用したものは突破塾の記述問題集のみです。
(着手時期)
着手時期は、試験1ヶ月前です。超直前になってしまいました。
中々記述に着手できなかったのは、択一で点数を取れるようになれば記述で部分点は取れるようになると思い、徹底して知識の定着のためテキストの読み込みにこだわっていたからです。
また、記述で点数が取れない原因は、自身の経験から時間配分をミスって解答できない場合、知識が足りない場合だという考えもありました。
(勉強法)
記述問題集の模範解答のキーワードを2~3つマーカーでマークしました。
すべてマークしたら、問題と解答のマーク部分のみを猛スピードで読みました。
それを5回程繰り返した後、問題を読みキーワードを答えられるか、試しました。
検討時間は1問につき1分位。分からなければ、すぐに答えを確認しました。
私自身40字は文として少ないので、簡単かと思いがちでしたが、よく読むとキーワードの背景の知識がないと書けないな、つまり丸覚えしても意味がないと思いました。
同じキーワードを書かせる場合でも視点を変えて出題されると、とたんに答えられないという経験をしました。答えられない問題は、解説にあるテキストの該当箇所を読んだ後、もう一度キーワードが答えられるかを試しました。
書くという作業は、模試で練習しているし、直前期でもあるので、時間節約のため意識的にしませんでした。
・多肢選択問題について
正確な知識が問われる出題形式ですが、特別に対策を取りませんでした。
テキストの読み込みをして、知識の定着を目指す事が、対策になったと思います。
・一般知識等について
(使用教材)
突破塾と模試。
(勉強方法)
一般知識等は苦手だったので、最初は色々対策を練ろうとしてました。
しかし、実際したことは、講義を聴いてからテキストの読み込みをしただけです。
テキストの内容が充実していたからと思いますが、この単純な方法で模試も足切りになったことはありませんでした。
文章理解は、突破塾通信講座の講義の後、模試を解いた程度でした。答えるときは、ひとつひとつの選択肢に理由を付けて答えるように意識しました。
【本試験までの概略】
6月初め、行政書士受験に専念することを心に決める。
6月末迄、勉強法の研究と計画を立てる。正解を書き込んだ過去問集をざっと読む。
6月末~7月末迄、法令科目の講義を聴き終わる。
8月~9月末迄、テキスト読み込みとリンク作業
10月~本試験、テキスト読み込み、リンク作業と記述式対策
5、使用教材と道具のご紹介
【使用教材】
・受験で不安な心も支えてくれる合格案内人、突破塾通信講座通信講座
・とっぱ先生推薦、東京法経学院の過去問マスターDX(2008年度版)の法令科目
・薄いという理由で、岩波のセレクト六法
【お気に入り勉強道具】
・勉強時間の計測でいつも一緒、ストップウォッチ
・いつでも先が尖っているのが面白い、シャーペンのクルトガ
・こすると消えるから躊躇なく書き込みできる、フリクションのペンとマーカー
・コラムがモチベーションの維持につながる、合格手帳
・貼りまくる、はがしまくるの、付箋
6、おわりに
平成21年度の試験に向けて自分の弱点を自覚して克服できるような方法を考え抜きました。そして、突破塾通信講座を選択した事、勇気が必要でしたがアウトプット中心からインプット中心の勉強法に変えた事で合格できたと思っています。
私に合った勉強法はインプットに偏っているのでどなたでも使えるものとは思えませんが、受験生の方の合格にひとつでも参考になりお役に立つができれば、嬉しい事この上ないです。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。